2026.05.29
「すそわきが」というと、女性のデリケートゾーンのにおいを想像される方が多いかもしれません。しかし、すそわきがは女性だけの悩みではありません。男性にも、デリケートゾーンや股まわりからワキガに近い独特なにおいが出ることがあります。
実際に当院にも、男性からのすそわきがに関するご相談があります。男性の場合、「陰嚢まわりが臭う気がする」「足の付け根のにおいが強い」「下着に独特なにおいが残る」「性行為のときに気になる」といったお悩みで相談されることがあります。
この記事では、男性のすそわきが、いわゆるスソガ・スソワキガの特徴、女性との違い、臭いやすい部位、蒸れとの関係、治療について解説します。
すそわきがとおりものの臭いは区別が難しい
すそわきがは、デリケートゾーン周辺にあるアポクリン汗腺が関係するにおいの悩みです。ワキガの原因となるアポクリン汗腺は、脇だけでなく、外耳道、乳輪、デリケートゾーンにも存在します。そのため、ワキガ体質の方は、デリケートゾーンからもワキガに近い特有のにおいが出ることがあります。
ただし、デリケートゾーンはおりものや生理の影響を受けやすい部位でもあります。当院でも、すそわきがのご相談では「おりものの臭いと区別がつきにくい」という悩みをよく伺います。
おりものは、女性の体にとって自然な分泌物です。健康な状態でも、やや白っぽく水分を含んだおりものが出ることがあり、軽い酸味のあるにおいを感じることもあります。一方で、嫌なにおいが強い、黄色っぽい、泡状・酒粕状・膿のようなおりものがある、かゆみや痛みを伴う場合は、腟炎などの可能性もあります。
つまり、デリケートゾーンのにおいは、すそわきがだけで判断してはいけません。まずは、おりものの状態や体調の変化も含めて確認することが大切です。
すそわきがの臭いの特徴
すそわきがのにおいは、一般的な汗のにおいとは少し異なります。ワキガに近い独特なにおいとして感じられることが多く、「酸っぱい」「スパイスのよう」「鉛筆の芯のよう」「ツンとする」「下着に残るにおい」と表現されることがあります。
すそわきがの原因は、アポクリン汗腺から出る汗そのものが強く臭うというよりも、汗に含まれる成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、におい物質が生じることにあります。当院のすそわきがページでも、鼠径部にあるアポクリン汗腺から分泌される汗が、皮膚常在菌と反応して独特のにおいを発すると説明しています。
すそわきがの場合、汗ばむとにおいが強くなる、下着ににおいが残る、性行為のときに気になる、入浴後しばらくするとまたにおいが出てくる、といった形で気づくことがあります。
また、耳あかが湿っている、家族にワキガ体質の方がいる、脇や乳輪のにおいも少し気になることがある場合は、すそわきがの可能性を考えるきっかけになります。
おりものの臭いの特徴
おりものの臭いは、月経周期や体調によって変化します。排卵期や月経前後はおりものの量や粘り気が変わることがあり、においを感じやすくなる方もいます。これは必ずしも病気というわけではありません。
一方で、いつもと明らかに違うにおいがある場合は注意が必要です。特に、魚のような生臭いにおい、灰色や黄緑色のおりもの、量の急な増加、かゆみ、痛み、性交痛、排尿時の違和感を伴う場合は、婦人科系の異常が隠れていることがあります。
たとえば、細菌性腟症では、灰色や黄緑色のさらさらしたおりものが増えたり、生臭いにおいを伴ったりすることがあります。症状から腟感染症が疑われる場合は、おりものや分泌物を調べる検査が行われます。
このような症状がある場合は、すそわきがの治療を検討する前に、まず婦人科で感染症や腟炎の有無を確認することをおすすめします。
見分けるポイントは「においの出るタイミング」と「おりものの変化」
すそわきがとおりものの臭いを見分けるうえで大切なのは、においの種類だけでなく、においが出るタイミングや、おりものの状態をあわせて見ることです。
すそわきがの場合は、汗ばむ日、長時間座っていた日、下着の中が蒸れた日、運動後、性行為の前後などに、デリケートゾーン周辺や下着に独特なにおいが残りやすくなります。おりものの量や色には大きな変化がないのに、陰毛のある部分やIライン周辺のにおいが気になる場合は、すそわきがの可能性があります。
一方で、おりものの臭いが原因の場合は、においと同時に、おりものの量、色、粘り気、かゆみ、痛みなどの変化を伴うことがあります。特に、急ににおいが強くなった場合や、普段と違うおりものが続く場合は、婦人科で相談することが大切です。
「魚のようなにおい」はすそわきがとは限りません
デリケートゾーンのにおいについて相談される方の中には、「魚のようなにおいがする」と表現される方がいます。
すそわきがでも、においの感じ方によっては魚のように感じることがありますが、魚のような生臭さが強い場合は、細菌性腟症など婦人科系の原因も考える必要があります。MSDマニュアルでも、細菌性腟症では生臭いおりものがみられることがあると説明されています。
特に、においが急に変わった、性行為後に強くなる、おりものが灰色っぽい、量が増えた、かゆみや違和感がある場合は、自己判断で「すそわきが」と決めつけず、婦人科で検査を受けることをおすすめします。
洗っても臭う場合はすそわきがの可能性があります
入浴して清潔にしているのに、時間が経つと同じようなにおいが戻ってくる場合は、すそわきがの可能性があります。
すそわきがは、単に汚れが残っていることで起こるにおいではありません。アポクリン汗腺から分泌される汗と皮膚常在菌が関係するため、丁寧に洗っていても、体質としてにおいが出やすい方がいます。
ただし、においを気にするあまり、デリケートゾーンを強く洗いすぎるのはおすすめできません。外陰部の皮膚は刺激に弱く、洗いすぎによって乾燥やかぶれ、かゆみが起こることがあります。皮膚の状態が悪くなると、かえってにおいが気になりやすくなることもあります。
デリケートゾーンは、外側をやさしく洗い、よくすすぎ、通気性のよい下着を選ぶことが基本です。それでもにおいが続く場合は、自己流のケアを続けるよりも、原因を確認することが大切です。
自分で確認するときのポイント
すそわきがかどうかを自分で確認したい場合は、下着に残るにおい、汗をかいた日の変化、入浴後どのくらいでにおいが戻るか、おりものの状態に変化があるかを確認してみてください。
当院では、すそわきがが心配な方に対して、恥丘部にガーゼをあてて1日過ごし、そのガーゼからワキガ特有のにおいがするか確認する方法をお伝えすることがあります。外陰部そのものではなく、外陰部より上の毛が生えている部分にあてることがポイントです。
ただし、外陰部に直接強くあてたり、長時間こすれるような状態にしたりすることは避けてください。皮膚のかぶれにつながる可能性があります。また、においを確認しようとして何度も触ったり、洗いすぎたりすることも避けましょう。
まず婦人科を受診したほうがよいケース
次のような場合は、すそわきがの相談よりも先に、婦人科での確認をおすすめします。
おりものの量が急に増えた、黄色・黄緑色・灰色のおりものがある、魚のような強いにおいがする、かゆみや痛みがある、性交痛がある、排尿時にしみる、出血や下腹部痛を伴う場合です。
これらは腟炎や性感染症などが関係している可能性があります。においだけで判断するのではなく、おりものの状態や痛み・かゆみの有無を含めて確認することが大切です。
婦人科で感染症や炎症が否定され、それでもワキガに近いにおいが続く場合は、すそわきがの可能性を考えてよいでしょう。
婦人科で異常がないのに臭う場合
婦人科で検査を受けても異常がない、腟炎や性感染症ではないと言われた。それでもデリケートゾーンのにおいが気になる。このような場合は、すそわきがが関係している可能性があります。
すそわきがは、腟の中ではなく、主に陰毛が生えている外側の皮膚周辺から生じるにおいです。Vライン、Iライン、Oラインなど、アポクリン汗腺が分布する部位でにおいが出ることがあります。
当院では、すそわきがで悩む方の情報をもとに、特ににおいが気になりやすい部位としてIゾーンを重視しています。どこから臭っているのかわからない方でも、Iゾーンが主な原因と考えられるケースがあります。
「おりものの検査では異常がないのに、においだけが気になる」という場合は、すそわきがの診察で原因を整理できることがあります。
プレシャスクリニック自由が丘でのすそわきが治療
プレシャスクリニック自由が丘では、すそわきがに対するミラドライ治療を行っています。ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺にアプローチする治療です。当院では、Vゾーン、Iゾーン、Oゾーンなど、気になる範囲に応じたすそわきが治療に対応しています。
当院では、デリケートゾーンのにおいに関するお悩みを伺いながら、婦人科系のにおいが疑われる場合は先に婦人科での確認をおすすめすることもあります。そのうえで、すそわきがの可能性が高い場合には、においが気になりやすい部位や生活上のお悩みに合わせて治療範囲を検討します。
治療後には、腫れ、赤み、痛み、内出血、違和感などが生じる可能性があります。また、効果の感じ方には個人差があります。すべての方に同じ結果が得られるわけではありませんので、診察時にリスクや副作用も含めて丁寧にご説明したうえで治療を行います。
よくある質問
Q
おりものの臭いとすそわきがは、自分で見分けられますか?
A
Q
おりものが臭う場合、すそわきが治療を受ければよくなりますか?
A
Q
婦人科で異常がないと言われても、においが気になります。すそわきがでしょうか?
A
Q
生理前だけにおいが強くなる場合も、すそわきがですか?
A
生理前はホルモンバランスの変化やおりものの変化によって、においを感じやすくなることがあります。ただし、もともとすそわきがの体質がある方は、蒸れや汗の影響でその時期ににおいが強く感じられることもあります。毎月同じ時期に気になる場合は、においの出方を記録しておくと診察時に役立ちます。
Q
洗っても臭うのは清潔にできていないからですか?
A
まとめ
すそわきがとおりものの臭いは、どちらもデリケートゾーンに関係するため、自分で区別するのが難しいことがあります。
おりものの量や色が変わった、魚のような生臭いにおいが強い、かゆみや痛みを伴う場合は、まず婦人科で相談することが大切です。一方で、おりものに大きな異常がなく、汗ばむと下着やIライン周辺にワキガに近いにおいが残る場合は、すそわきがが関係している可能性があります。
デリケートゾーンのにおいは、誰にも相談しにくい悩みです。しかし、原因を整理することで、必要な対策は見えてきます。婦人科系の異常がないのににおいが続く場合は、すそわきがの可能性も含めて、当院までご相談ください。
この記事を監修した医師
清水 祐紀 医師(プレシャスクリニック自由が丘 院長)
昭和大学医学部卒業後、昭和大学形成外科学教室に入局。
形成外科学博士号を取得し、日本形成外科学会 形成外科専門医、日本美容外科学会専門医を取得。
昭和大学で長年にわたり形成外科診療・研究に携わった後、自由が丘にてプレシャスクリニック自由が丘を開院。
ワキガ・多汗症治療においては、形成外科専門医としての知識と経験をもとに、患者さま一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。
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