2026.05.02
プレシャスクリニック自由が丘 院長の清水祐紀です。
妊娠や出産をきっかけに、「以前より脇のにおいが気になるようになった」「汗の量が増えて、ワキガが悪化した気がする」と感じる方がいます。
また、ご自身がワキガ体質の場合、「子どもにも遺伝するのではないか」と不安に思う方も少なくありません。
ワキガは、アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌によって分解されることで、特有のにおいが生じる状態です。日本形成外科学会でも、腋臭症はアポクリン腺の発達に遺伝的素因や性ホルモンが関与するとされています。
本記事では、妊娠・出産とワキガの関係、出産後ににおいが気になりやすくなる理由、子どもへの遺伝、治療を検討するタイミングについて解説します。
妊娠するとワキガは悪化する?
妊娠したからといって、すべての方のワキガが悪化するわけではありません。
ただし、妊娠中はホルモンバランスや体調が大きく変化する時期です。MSDマニュアルでは、妊娠中は体内のホルモンに大きな影響が生じ、発汗量の増加が起こることがあるとされています。
そのため、もともとワキガ体質の方では、汗の量が増えたり、皮脂分泌や蒸れが起こりやすくなったりすることで、においを強く感じる場合があります。
つまり、妊娠によって「ワキガ体質そのものが急に作られる」というよりも、妊娠中の体の変化によって、もともとあったにおいが目立ちやすくなることがあると考えるとよいでしょう。
妊娠中にワキガのにおいが気になりやすい理由
妊娠中にワキガのにおいが気になりやすくなる背景には、いくつかの要因があります。
汗をかきやすくなる
妊娠中は基礎代謝や血流量が変化し、汗をかきやすくなることがあります。汗そのものがワキガ臭の直接の原因ではありませんが、脇が蒸れた状態が続くと、皮膚の常在菌が増えやすくなります。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、分泌された直後から強いにおいがあるわけではなく、皮膚の細菌によって分解されることで特有のにおいが生じます。臭汗症についても、汗腺からの分泌物などを細菌や酵母が分解することで体臭が生じるとされています。
ホルモンバランスが変化する
ワキガの原因となるアポクリン汗腺は、性ホルモンの影響を受けやすいとされています。妊娠中はホルモン環境が大きく変わるため、人によってはにおいの感じ方に変化が出ることがあります。
また、妊娠中はにおいに敏感になる方もいます。自分の体臭が以前より強くなったように感じる場合でも、実際には嗅覚の変化が影響していることもあります。
体温上昇や蒸れが起こりやすい
妊娠中は体が熱っぽく感じたり、服装や下着によって脇が蒸れやすくなったりすることがあります。蒸れた環境は菌が繁殖しやすく、ワキガのにおいが出やすい状態につながります。
特に夏場や、締め付けのある衣類を着ていると、においが気になりやすくなることがあります。
ストレスや睡眠不足の影響
妊娠中は体調の変化や出産への不安などから、ストレスを感じやすい時期でもあります。ストレスや緊張による発汗が増えると、脇のにおいを感じやすくなることがあります。
また、出産後は授乳や夜間のお世話によって睡眠不足になりやすく、体調の乱れから汗やにおいが気になることもあります。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
入浴中や家事の合間に、膣や肛門の筋肉を意識して「キュッと締めて、緩める」を繰り返します。筋力と血流が改善し、軽度なゆるみや感覚の鈍化に効果が期待できます。。
コンディションの見直しと潤滑剤の活用
何よりも十分な睡眠と休息をとることが、女性機能の維持には不可欠です。また、ホルモン変化による「乾燥」に対しては、市販の潤滑ゼリーを恥ずかしがらずに活用してください。摩擦による痛みや違和感を防ぐだけで、感覚が戻ってくる方も多くいらっしゃいます。
出産後にワキガが悪化したように感じることはある?
出産後も、ワキガが悪化したように感じることがあります。
出産後はホルモンバランスが急激に変化し、授乳や育児による睡眠不足、ストレス、生活リズムの乱れが重なりやすい時期です。さらに、赤ちゃんのお世話で自分の入浴や着替えのタイミングが後回しになり、汗や蒸れが残りやすくなることもあります。
そのため、産後ににおいが強くなったと感じる場合でも、ワキガそのものが進行したというより、汗・蒸れ・生活環境の変化によってにおいが目立ちやすくなっている可能性があります。
一方で、出産後しばらく経っても強いにおいが続く場合や、妊娠前からワキガ体質の自覚がある場合は、専門医に相談して状態を確認することも選択肢の一つです。
妊娠中のワキガ対策はどうすればよい?
脇を清潔に保つ
汗をかいたら、濡れたタオルや汗拭きシートでやさしく拭き取りましょう。強くこすりすぎると肌荒れの原因になることがあるため、皮膚に負担をかけないように注意が必要です。
入浴時は、脇を丁寧に洗い、石けん成分が残らないようにしっかり洗い流します。
通気性のよい衣類を選ぶ
綿素材や吸湿性・速乾性のあるインナーを選ぶと、汗や蒸れを軽減しやすくなります。脇まわりが締め付けられる服装は蒸れの原因になることがあるため、ゆとりのある衣類を選ぶのもよいでしょう。
制汗剤・デオドラントは肌状態を見ながら使用する
妊娠中は肌が敏感になりやすいため、制汗剤やデオドラントでかぶれが起こることがあります。使用する場合は、刺激の少ないものを選び、赤み・かゆみ・ヒリつきが出た場合は使用を中止しましょう。
不安がある場合は、かかりつけの産婦人科や皮膚科に相談することをおすすめします。
食生活や生活リズムを整える
妊娠中や授乳中にワキガ治療は受けられる?
妊娠中や授乳中のワキガ治療については、治療内容や体調によって判断が異なります。
ワキガ治療には、制汗剤などによる保存的なケア、ボツリヌストキシン注射、手術、ミラドライなどがあります。ただし、妊娠中や授乳中は母体と赤ちゃんへの影響を考慮し、美容目的・生活改善目的の治療は急がず、出産後や授乳終了後に検討することが一般的です。
特に、外科的な治療や局所麻酔を伴う治療は、妊娠中の体調や安全性を慎重に考える必要があります。妊娠中ににおいが気になる場合は、まずはセルフケアを行い、必要に応じて医師に相談しましょう。
ワキガは子どもに遺伝する?
ワキガ体質は、遺伝的な影響を受けやすいとされています。
日本形成外科学会の腋臭症診療ガイドラインでは、腋臭症は優性遺伝で継承されるとされ、問診では耳垢の状態や家族歴などを確認することが挙げられています。
ただし、親がワキガ体質だからといって、子どもが必ずワキガになるわけではありません。また、ワキガ体質を受け継いだとしても、においの強さや発症時期には個人差があります。
「遺伝する可能性がある」と考えつつも、過度に心配しすぎず、成長に合わせて様子を見ることが大切です。
子どものワキガはいつ頃から気づきやすい?
ワキガのにおいは、思春期以降に気づかれることが多いとされています。これは、性ホルモンの影響でアポクリン汗腺の働きが活発になりやすいためです。
ただし、においの出方には個人差があり、小学生頃から気になるケースもあります。プレシャスクリニック自由が丘でも、子どものワキガについては、アポクリン汗腺そのものの量だけでなく、汗・蒸れ・皮膚常在菌の影響によってにおいが目立つことがあると説明しています。
子どもの場合、本人がにおいに気づいていないこともあれば、学校生活の中で悩みにつながることもあります。保護者が気づいた場合でも、本人を傷つけるような伝え方は避け、必要に応じて専門医に相談するとよいでしょう。
妊娠・出産をきっかけに、すそわきがやチチガが気になることも
ワキガの原因となるアポクリン汗腺は、脇だけでなく、乳輪やデリケートゾーンにも存在します。そのため、出産後や授乳期に、乳輪周囲のにおい、いわゆるチチガが気になる方もいます。
また、デリケートゾーンはおりもの、生理、汗、蒸れなど複数の要因でにおいが生じやすい部位です。プレシャスクリニック自由が丘では、すそわきがはワキガ特有のにおいがデリケートゾーンからする状態と説明しており、月経やおりものによるにおいと区別が難しい場合があるとしています。
乳輪周囲のにおいについても、チチガは乳輪周囲にあるアポクリン汗腺が関係する状態と説明されています。
ただし、産後のデリケートゾーンや乳輪周囲のにおいは、感染症、炎症、授乳トラブルなどが関係している場合もあります。急に強いにおいが出た、痛みやかゆみ、腫れ、分泌物の変化がある場合は、自己判断せず産婦人科などの医療機関に相談しましょう。
出産後にワキガ治療を検討するタイミング
出産後にワキガ治療を検討する場合は、体調が落ち着いてから相談することが大切です。
産後すぐは、体力の回復、授乳、睡眠不足、ホルモンバランスの変化などが重なる時期です。そのため、まずはセルフケアを行い、においが一時的なものか、継続しているものかを見極めるとよいでしょう。
治療を検討する目安としては、以下のようなケースがあります。
- 出産前からワキガ体質で、産後もにおいが強く気になる
- セルフケアでは十分に改善しない
- 衣類へのにおい移りが気になる
- パートナーや家族から指摘された
- 授乳終了後、根本的な治療を検討したい
ワキガは命に関わる病気ではありませんが、日常生活や対人関係に影響することがあります。一人で悩み続けるよりも、専門医に相談することで、状態に合った対策を検討しやすくなります。
プレシャスクリニック自由が丘のワキガ・多汗症治療
プレシャスクリニック自由が丘では、ワキガ・多汗症に対する治療としてミラドライを行っています。ミラドライは、マイクロ波を用いて汗やにおいの原因となる汗腺に熱エネルギーを与える治療です。同院では、院長がミラドライ治療を担当し、治療経験をもとに照射範囲や方法を調整しているとされています。
院長の清水祐紀医師は、昭和大学医学部卒業後、昭和大学形成外科学教室に入局し、形成外科学博士号、日本形成外科学会形成外科専門医、日本美容外科学会専門医を取得しています。
なお、ミラドライは妊娠中・授乳中の方に積極的にすすめる治療ではありません。治療を希望される場合は、出産後の体調や授乳状況を踏まえ、医師と相談しながら検討することが大切です。
まとめ
妊娠・出産をきっかけにワキガが悪化したように感じることはありますが、必ずしもワキガ体質そのものが急に変化したとは限りません。妊娠中や産後は、ホルモンバランス、発汗、蒸れ、ストレス、睡眠不足などの影響で、においが目立ちやすくなることがあります。
また、ワキガ体質は遺伝的な影響を受けやすいとされていますが、子どもに必ず遺伝するわけではなく、においの強さや発症時期にも個人差があります。
妊娠中や授乳中は、まず清潔を保つ、通気性のよい衣類を選ぶ、肌に合うデオドラントを使用するなど、体に負担の少ないケアを中心に行いましょう。出産後もにおいが気になる場合や、子どものワキガについて不安がある場合は、専門医に相談することをおすすめします。
注意点・リスク・副作用
ミラドライについて
ミラドライは、マイクロ波を用いて汗やにおいの原因となる汗腺に熱エネルギーを与える治療です。ワキガ・多汗症の症状軽減を目的として行われますが、効果のあらわれ方には個人差があります。
リスク・副作用
治療後に、腫れ、痛み、内出血、赤み、しこり感、つっぱり感、感覚の鈍さ、わき毛の減少などが起こることがあります。多くは一時的ですが、症状の程度や経過には個人差があります。
費用
ミラドライ治療は自由診療です。費用は治療範囲や照射方法によって異なります。詳細はカウンセリング時にご確認ください。
妊娠中・授乳中の方へ
妊娠中・授乳中の方は、体調や授乳状況を踏まえた慎重な判断が必要です。治療を希望される場合は、事前に医師へご相談ください。
この記事を監修した医師
清水 祐紀 医師(プレシャスクリニック自由が丘 院長)
昭和大学医学部卒業後、昭和大学形成外科学教室に入局。
形成外科学博士号を取得し、日本形成外科学会 形成外科専門医、日本美容外科学会専門医を取得。
昭和大学で長年にわたり形成外科診療・研究に携わった後、自由が丘にてプレシャスクリニック自由が丘を開院。
ワキガ・多汗症治療においては、形成外科専門医としての知識と経験をもとに、患者さま一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。
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